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畳2枚分の広さで年間32品目の野菜ができる!「一坪ミニ菜園」【DIY的半農生活Vol.20】

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庭のランドスケープとしておしゃれな菜園を作りたい

わが家の畑は庭の一部としてある。家の南側に設けたウッドデッキを下りて、芝生の庭を十数歩進むとそこに10アールの畑がある。いつも家の窓から畑を見て過ごしている。わが家のランドスケープ(景観)なのである。そういうわけで、畑は美しくなければならない。理想は木やレンガやレイズドベッド(周囲より高く土を盛り枠で囲った栽培スペース)でレイアウトされた、しゃれた欧米のキッチンガーデンとか、ポタジェとか、そういうイメージである。

背景に家_MG_5296

家の庭がそのまま畑につながっている。畑には5枚のミニ菜園がある

以前、その理想を求めて畑をレイアウトしたことがある。でも、失敗した。10アールという広さを管理しきれなかったのである。自然木や石を並べて栽培スペースや通路を作ったのだが、そうすると耕運機を使えないし、除草もしにくい。結局、作物はうまく育たず、草もわさわさ生えてしまって、まったくうまくいかなかった。
そこそこ広い畑で、それなりにきちんと作物を作ろうと思ったらやはり南北に畝が並んだ、いわゆる典型的な畑のほうがずっと管理はしやすい。それでやめてしまったのだが、一つだけそのまま残した区画がある。
市販の木材を使ったきれいな正方形の栽培スペースだ。広さは約1.8×1.8メートル。ちょっと中途半端な寸法だが、市販の木材の規格がそれなのだ。
その正方形の枠を見て、私はふとあることを思いついた。それがのちに著書にもなる「一坪ミニ菜園」である。

ミニ菜園俯瞰_MG_5009

「一坪ミニ菜園」。枠をひもで16マスに区切って、1マス1品目を基本に植えつける

枠を設け、マスを区切ることで得られるメリット

約1.8×1.8メートルは、およそ畳2枚分(1坪)の広さである。1辺を4等分すると約45センチになり、枠を4×4に区切ると45×45センチのマスが16できる。そこに1マス1品目で野菜を育てたらどうだろうか? それぞれのマスの真ん中に野菜を一つ植えると、隣の野菜との間隔は約45センチ。要は株間だが、これはトマトやジャガイモやキャベツやダイコンなど多くの野菜にとって最適な間隔である。とすれば、約1坪のスペースに無理なく16の作物を栽培できるのではないか。春作16+秋作16で年間32品目。庭や貸農園など限られたスペースを畑にしている人も、効率的にいろいろな作物を栽培できる。

ミニ菜園葉物_MG_4390

春のミニ菜園。マスごとに異なる種類の葉物が育つ

広さが限られるので、少ない量の堆肥(たいひ)や培養土で簡単に土づくりができるし、枠で囲うことで周囲の地面より高くなり、水はけや通気性がよくなる。また、高さが出るので根を長く伸ばすことができるし、雨や風で土や養分が流出するのも抑えられる。マスで区切ることで、植えつけや収穫の時期が異なる野菜を一緒に栽培しても管理がしやすい。耕運や除草も楽にできるし、作業に時間や労力もかからない。見た目もいい。枠で囲まれ、地面からちょっと立ち上がっているだけで、パッと目を引く。庭や畑に余裕があれば、この枠を2~3枚作ってもいい。いいぞ、これなら素敵なベジタブルガーデンができる。

4枚のミニ菜園_MG_9490

枠を設けることで高畝と同じ効果が期待でき、土が崩れる心配もない

一坪ミニ菜園のここがすごい!

一坪ミニ菜園のメリットは以下の通り。

  • 畳2枚分の広さで年間32品目の野菜が作れる
  • 土づくりが簡単
  • 水はけや通気性がよい
  • 根を長く伸ばすことができる
  • 雨や風による土や養分の流出を抑えられる
  • 植えつけや収穫の時期が異なる野菜を一緒に栽培しても管理しやすい
  • 耕運や除草などの作業に時間や労力がかからない
  • 景観として映える

一坪ミニ菜園の材料

一坪ミニ菜園の枠は、ホームセンターで手に入る木材を利用するのが手軽だ。DIYの材料としてメジャーなツーバイ材という規格材のうち、そこそこ幅と厚みがある2×8(ツーバイエイト、厚さ38×幅184ミリ)、または2×10(ツーバイテン、厚さ38×幅235ミリ)が適している。長さは6フィート(約1.82メートル)でも販売されているので、切らずにそのまま使えるのも便利。木材保護塗料を2~3回塗り重ねると耐久性が高まる。経年で傷んでいくのは避けられないが、経験的に5~10年は持つ。

一坪ミニ菜園の作り方

枠を組む
設置場所を軽く耕し、釘やビスで四角く組んだ木材をなるべく水平になるように置く。

枠を組む_MG_9373

土を寄せる
枠は5~10センチの深さで埋める。周りに軽く土を寄せて突き固めると枠が安定する。

土を寄せる_MG_9900

堆肥や腐葉土を入れる
枠がいっぱいになるように庭や畑の土、または培養土を入れる。さらに堆肥(40~80リットル)、腐葉土(50リットル)、もみ殻くん炭(200グラム)、有機質肥料(500グラム)を混ぜて、よく土にすき込む。分量は目安だ。
土づくりができたらレーキで表面を平らにならす。

堆肥を入れる_MG_9920

ビスや釘を打ってひもを張る
枠を4等分した位置に釘やビスを打ち、そこにひもを結んでマス目を区切る。ひもはシュロ縄が腐りにくいのでおすすめだ。

ひもを張る_MG_9949

完成_MG_9952

完成

いつ、どこに、どんな野菜を育てるか

ミニ菜園で効率よく野菜を育てるにはプランニングが大切だ。いつ、どこに、どんな野菜を育てるか、計画しておくのである。そうすることで、それぞれの野菜の植えつけや撤収の時期が明確になり、次の野菜へとスムーズにバトンをつないでいける。
植えつけは1マス1品目が基本だが、コマツナやホウレンソウなど草姿の小さな葉物なら1マスに10株前後育てられる。一方で枝葉の広がるナスやズッキーニは4マス使って伸び伸び育てるなど、作物に合わせてマスの使い方をアレンジするとよい。
スイカやカボチャなどつるが伸びる野菜は、枠の外に余裕があればつるを外に伸ばすことで栽培できるし、支柱やネットを使って立体栽培してもいい。マスごとに異なる野菜を育てる必要もなく、全部のマスを使って16品種のトマトを育てたっていいのだ。

立体栽培_MG_5123

枠の周りにハウスパイプで支柱を立ててひもを張り、カボチャやスイカを立体栽培している

春夏の栽培プランの例

北側のマスには支柱やネットを設置し、トマトとキュウリを誘引する。草丈の高くなる野菜を北に植えることで、ほかの作物の陰になるのを避けられる。ナスは4マスを使い、株元にはコンパニオンプランツのネギを混植。ネギの根の周囲に集まる細菌がナス科やウリ科の病害を抑える働きがあると言われている。ジャガイモは3月中旬に一足早く植えつけ、6月に収穫。そのほかの野菜は4月中旬~5月上旬に植えつけ、落花生とショウガを除いて8月中に収穫を終える。

春夏イラスト

春夏の栽培プランの例

秋冬の栽培プランの例

秋作は南側の2列にアオムシなどの害虫がつきやすいアブラナ科の野菜を植えつけ、まとめて防虫ネットでガード。コマツナなど草姿の小さな葉物や小型の根菜はすじまきして、間引きながらベビーリーフを楽しみ、最終的に1マス10株前後を育てる。落花生とショウガ、および生育の早いコマツナなどは10月中に収穫できるので、その後作にエンドウやソラマメ、タマネギ、ニンニクなどを植えつけられる。
収穫してマスが空いたら、その都度、有機質肥料や堆肥を入れてやれば、土壌の消耗を抑えられる。作物が少なくなる冬に全面的に土づくりしなおしてもよい。

_秋冬イラスト

秋冬の栽培プランの例

わが家の畑はおよそ1反(10アール)あるが、その一角には5枚のミニ菜園がある。じつを言えば、ナスやキュウリやコマツナや各種ハーブなどは、このミニ菜園だけでまかなえてしまう。土を耕すのに耕運機もいらないし、草の多い春から夏でも除草は1週間に1回10分程度やるだけ。「最小限の広さと労力、時間、コストで、最大限の収穫を得る」というのがミニ菜園のコンセプトだ。小さな菜園だがうまくやれば、初夏から晩秋の菜園シーズンは、ほぼ毎日、畑で収穫した何かしらの野菜を使った料理を楽しむことができると思う。
私はこの菜園を畑というよりはガーデニングとして楽しんでいる。

作業中_MG_9999

初夏から秋にかけては、ほぼ毎日何かしらの野菜を収穫できる

一坪ミニ菜園はこんな人におすすめ!

  • 庭先のちょっとしたスペースを利用したい
  • 耕運や除草に手間や時間をかけたくない
  • 無農薬・無化学肥料で健康的な野菜を作りたい
  • 難しいことはしたくない
  • 管理しやすく、おしゃれな菜園にしたい
  • 限られた広さでもたくさんの種類の野菜を作りたい

著書「一坪ミニ菜園入門」もよろしく! 売れてます!

著書_カバー_0105-2

「一坪ミニ菜園入門」(山と渓谷社)


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