未利用資源を価値ある資源へ、発酵技術で変化と驚きを創造する
「オーディエンス賞に選ばれたことはとても嬉しいです。私たちの新しいチャレンジを一般マーケットに近い会場の皆さまが面白いと評価してくださったことは、大きな励みになります」。株式会社ファーメンステーションの酒井里奈さん(同社代表取締役)は、満面の笑みで受賞の喜びを語りました。
同社は、未利用資源を活用した発酵技術でさまざまな機能を持つ素材に転換し、化粧品、食品、飲料などの分野に展開する事業を行っています。これを発酵アップサイクルのプラットフォームと言い、近年はフードテック分野に注力。食品残渣などの未利用資源をアップサイクルすることで、環境負荷の低減と新たな価値の創造を目指しています。
「化粧品分野で実績が多く、食品・飲料分野には進出したばかりです。まずは当社の技術と可能性を知っていただきたいと思い、今回のコンテストに参加しました」と酒井さん。プレゼンテーションでは、技術の進化を強く意識しました。「スタートアップとして、特に最新の研究施設の拡充や、分析機能の向上など、技術の進化を具体的に伝えることを心がけました。食品業界の皆さまに、私たちの技術の面白さや、素材の可能性を感じていただけたと思います」と話します。
その試みは確かな手応えとなって返ってきました。「システムチェンジを起こしたいという私たちの思いを、審査員の方々に評価していただけました。社会を変革できる可能性があるとのコメントをいただき、早速社内で共有しました」。
今後のビジョンについて、「まずは国内企業との協業事例を増やしていきます。未利用資源だからこそ実現できる付加価値の高い製品を、私たちの技術で生み出していきたい。そして中長期的には、このような取り組みが当たり前となるような仕組みづくりを、業界全体で進めていきたいと考えています」と語る酒井さん。「使われていなかったものが新しい価値を持つ製品に生まれ変わる。その驚きや変化を大切にしています。私たちの技術で『こんなものが作れるんだ!』と思っていただけたら嬉しいです」と事業に対する熱い思いを語ってくれました。
ビジネスコンテストについて、「ピッチに向けた準備過程で、自社の強み、課題、目指す方向性が整理されていきます。特にフードテック官民協議会では、業界に精通した方々からの評価や質疑を通じて、貴重な知見が得られます」と酒井さん。
共同開発でも、国内外でおいしく機能のある素材を創造するトッププレイヤーを目指しています。
酒井里奈さん