アケビって?
アケビの特徴
アケビはアケビ科アケビ属の山間部に自生する果物で、紫色の皮に包まれた白いゼリー状の果肉が特徴的です。ツル性の植物で、木に巻きついて成長します。
果肉には優しい甘みがあり、黒い種が多く含まれています。種は噛むと苦味があり、毒はないものの消化されないため、たくさん飲み込むと消化不良を起こす可能性があります。白い果肉部分だけを食べ、種は口から出しましょう。皮はそのままでは食べられませんが、アク抜きして加熱調理することでおいしくいただけます。
山形県が産地として有名で、国内出荷量の約90%を占めています。
アケビの旬の時期
アケビの旬は秋で、収穫時期は8月下旬から10月中旬です。5月頃に花を咲かせ、秋になると果実が紫色に熟し、自然に皮が割れて中の果肉が現れます。この状態が食べごろのサインです。完熟すると果肉が甘みを増し、独特のとろりとした食感が楽しめます。未熟なものを購入した場合は、直射日光の当たらない涼しい場所で追熟させましょう。
アケビのおいしい食べ方
アケビの果肉はそのままスプーンですくって生で食べるのが一般的です。バナナや熟した柿のような甘みが特徴で、シャーベットに加工するのもおすすめ。
一方で、皮はアク抜きをして加熱調理が必要です。天ぷらや味噌炒め、バターソテーなどがよく合い、山形県では肉詰め料理も親しまれています。春に芽吹く新芽も食用にできるので、さまざまな部位でアケビを楽しめますよ!
アケビの種類
アケビには主に「アケビ」「三葉アケビ」「五葉アケビ」の3種類があります。
アケビ
アケビは、小葉が5枚の縁色の葉が特徴です。日本、中国、朝鮮半島に分布し、温暖な気候を好みます。花は淡い紫色をしていて、秋には紫色の実をつけます。
三葉アケビ
三葉アケビは、小葉が3枚あり、葉の形は幅広の卵形で縁がギザギザしています。寒冷地に適しており、北海道から九州まで幅広く分布しています。花は濃い紫色で、果実は紫色や薄褐色になることがあります。
五葉アケビ
五葉アケビは、アケビと三葉アケビの自然交雑種で、小葉が3枚から5枚まで変化します。葉の縁はギザギザとしており、花の色は濃紫色です。この種は野生種としては少なく、家庭用や園芸用として栽培されることが多いです。
その他の種類
更に、近縁種である「ムベ(トキワアケビ)」や、園芸用に改良された「白アケビ」などの種類も存在します。特に白アケビはその見た目の美しさから人気があります。
それぞれの種には異なる特徴があり、地域や環境によって外見が違います。自然の中でアケビを見つける際には、葉の形や花の色、実の様子を観察してみてください。
アケビのおいしい食べ方
アケビは、果肉だけでなく皮や新芽なども楽しめる果物です。それぞれの部位ごとにおいしい食べ方をご紹介します。
果肉(実)の食べ方
熟したアケビの果肉は、ゼリー状で乳白色をしており、ほんのり甘く滑らかな食感が特徴です。そのままスプーンですくって食べるのが一般的ですが、種が多いため、スイカを食べるように口に含んで種を吐き出します。果肉はアイスクリームやムースに加工しても楽しめます。
皮の食べ方
アケビの皮は、生では苦味が強いので加熱調理が必要です。アク抜きをした後、天ぷら、味噌炒め、きんぴらなどに調理すると、柔らかくふっくらした食感に、独特のほろ苦さがアクセントになります。特に山形県では、アケビの皮に肉を詰めて焼いたり煮たりする「アケビの肉詰め」が親しまれています。
アケビの皮アク抜きの方法
1.皮の中身を取り出し、皮はすぐに水に浸けて茶色くなるのを防ぐ
2.料理に合わせた大きさに切り、1~2時間水に浸けてアクを抜く
3.塩をひとつまみ入れた湯でさっと茹で、冷水にさらす
※苦味が強い方が好みな場合は、茹でる時間や水に浸ける時間を短くする
新芽(つる)の食べ方
春に採れるアケビの新芽は木の芽と呼ばれ、独特の風味とほろ苦さが特徴です。お浸しや炒め物にするとおいしくいただけますが、強いアクがあるため、塩を加えた湯で茹でてから水にさらす必要があります。ただし、食べられるのはミツバアケビの新芽だけなので注意しましょう。
アケビの新芽のアク抜きの方法
1.水に浸けて優しく洗い、汚れを落とす
2.鍋にたっぷりのお湯を沸かし、1分程度さっと茹でる
3.ざるに上げ、流水で冷やす
4.水に浸けて半日以上置き、途中で1~2回水を替えてアクを抜く
5.水気をしっかり絞ってから調理する
その他のアケビの料理
皮は照り焼きソースで炒めるとご飯にぴったりの一品に、果肉はシャーベットにすると爽やかなデザートになります。家庭菜園で採れたアケビは、皮と果肉を分けて異なる料理に活用するのもおすすめです。
アケビは果肉の甘さと皮のほろ苦さ、新芽の風味と、異なる味わいを楽しめる秋の味覚です。
アケビを家庭菜園で育てる方法
アケビは丈夫で手間がかからない上、観賞用としても食用としても楽しめる植物です。特に果実の収穫を目指す場合、異なる品種を植えて人工授粉を促すことで、おいしいアケビを家庭菜園で育てられます。それでは、アケビを家庭菜園する手順を紹介していきます。
1. 植え付け時期
アケビの植えつけは、11月から2月の休眠期が適しています。地植えの場合は、深さ50〜70センチメートルの植え穴を掘り、腐葉土や堆肥を混ぜた土を使います。鉢植えの場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜた用土を使用すると良いでしょう。
2. 適切な環境の選び方
アケビは明るい半日陰を好みます。夏の強い直射日光を避け、西日が当たらない場所を選ぶと葉焼けを防げます。また、つるが巻きつく性質があるため、フェンスや支柱を設置すると美しい株に育ちます。庭の垣根や目隠しとしても利用できます。
3. 水やりと肥料
アケビは乾燥に弱いため、夏は土が乾いたらたっぷり水を与えます。冬は休眠期のため、頻度を控えめにします。また、年に3回(2月、5月、10月)、有機質肥料や速効性化成肥料を与えます。鉢植えの場合は、肥料を混ぜ込んだ用土を使用するのも良いでしょう。
4. 剪定と受粉
年に2回、冬(1~2月)と夏(7月)に剪定を行います。冬は花芽を2~3個残して前年枝を整え、夏は不要なつるを切り落とします。
また、アケビは自家受粉が難しいため、異なる品種を2株以上育てましょう。市街地では自然受粉もあまり期待できないので、人工授粉を行うのがポイントです。違う品種のおしべをめしべに触れさせ、花粉を漬けてやります。
5. 収穫する
アケビの果実は、実がつくまでに3年以上かかることが一般的です。しっかりと株を育てながら、じっくり収穫を待ちましょう。収穫時期は、9月から10月の果実が紫色に熟し、果皮が割れて中の白い果肉が見えるようになったら収穫のタイミングです。実が多すぎる場合は、2〜3個に間引くことで、大きく甘い果実が収穫できます。
また、3〜5月の春頃には新芽を収穫することも可能です。芽吹いたばかりの柔らかい新芽や若いつるは山菜として楽しむことができます。収穫した新芽はアク抜きをして、おひたしや和え物にするとおいしく食べることができます。
まとめ
アケビは、日本の自然に根付いた魅力的な植物です。果実は甘みのある果肉やほろ苦い皮を楽しめるほか、新芽も食材として活用可能。種類による特徴を知ると更に深く楽しめます。また、家庭菜園で育てるのも手軽で、収穫の喜びを味わえます。この記事を参考に、アケビのおいしさや育てる楽しみをぜひ体験してみてください!