ウリハムシの生態と特徴
ウリハムシは、ウリ科の作物に大きな被害を与える害虫です。成虫は黄褐色で、体長は7~9ミリほど。頭部と前胸部は光沢のある橙黄色で、上翅(じょうし)はややくすんだ黄褐色をしています。老齢幼虫は約10ミリで、やや黄色がかった白色の細長い円筒状をしています。
ウリハムシは主にウリ科植物を食害します。成虫は葉を不規則な半円形~円形、網の目状に食害し、特にスイカやマクワウリでは果実の表面を浅く不規則に食害するため、品質が低下します。主に露地栽培で発生し、春から初夏に直播する露地栽培の発芽期や、早熟栽培のトンネル被覆除去後に被害が大きくなります。
幼虫はウリ科植物の根を食害します。ふ化直後は細根を食害し、成長すると太い根や株元の茎に潜り込んで食害するようになります。ひどい場合は株が枯死することもあります。
ウリハムシが生息している場所
ウリハムシの成虫は日当たりの良い草むらや庭先、ブロック塀や建物の隙間などで集団で越冬します。そして、春になるとまずソラマメ、インゲン、ダイコン、ハクサイなどの作物を食害し、その後ウリ科作物へと飛来します。このため、ウリ科以外の作物にも早い段階で被害が出ることがあり、注意が必要です。
ウリハムシが発生しやすい時期
ウリハムシの活動は4月~10月にかけて活発になり、特に5月~6月、8月~9月が発生のピークとなります。
新成虫の発生時期は7~8月で、この時期には葉や果実への被害が特に顕著になります。また、成虫の被害のピークは越冬から目覚めた5月頃と、夏場の8月頃に最も多くなります。
本州の多くの地域ではウリハムシは年に1回発生し、9月下旬には成虫が越冬場所へ移動します。しかし、温暖な地域では9~10月に2世代目の成虫が発生することがあり、被害が長引くこともあります。
ウリハムシが発生しやすい作物
ウリハムシは主にキュウリ、スイカ、カボチャ、メロンなどのウリ科作物を好みます。葉や茎を食害するため、生育初期に被害を受けると作物が枯れることもあります。
梅雨に雨が続いたり、夏に暑い日が続いたりすると、外での作業が難しくなってしまいます。気づいたときにはウリハムシが大量発生していたなんてこともありえるので、ウリ科野菜を栽培するときは注意しましょう。
ウリハムシの駆除におすすめの殺虫剤・農薬
ウリハムシの駆除に使える殺虫剤や農薬のうち、家庭菜園でも使いやすいものを紹介します。ウリハムシの駆除に薬剤を使うときは、1週間の間隔をあけて数種類の農薬をローテーションして使うとより効果的です。
家庭園芸用マラソン乳剤
有機リン系の殺虫剤で、素早い効き目が特徴です。ウリハムシはもちろんですが、幅広い作物でさまざまな害虫の防除に使うことができる使いやすい薬剤です。
モスピラン顆粒水溶剤
ネオニコチノイド系の殺虫剤で、有機リン系が効きにくい害虫にも効果があります。速効性と浸透移行性の両方を兼ね備えており、農家もよく使う薬剤です。
ベニカXネクストスプレー
5種類の有効成分を配合した殺虫殺菌スプレー剤です。キュウリのウリハムシ防除の他、アブラムシやハダニ対策にも使うことができます。スプレータイプなので、面倒な調合をせずにそのまま吹きかけて使えて便利です。
アースガーデン 野菜うまし
殺虫殺菌成分を配合したスプレー剤です。キュウリのウリハムシ防除に使うことができ、収穫前日まで使用できます。一緒にうどんこ病の予防もできるのも特徴です。
殺虫剤や農薬を使わずにウリハムシを予防・駆除する方法
殺虫剤や農薬を使わずにウリハムシを予防・駆除する方法を3つ紹介します。
- コンパニオンプランツ(ネギ)を活用する
- シルバーマルチを使う
- 手で直接捕まえる
それぞれどのような方法か、簡単に解説します。
ウリ科作物とネギを一緒に植える
ウリハムシはネギの匂いを嫌うため、ウリ科の作物とネギを混植することで被害を軽減できます。
このような相性の良い植物同士を一緒に植える方法をコンパニオンプランツと言います。コンパニオンプランツを活用すると、害虫の忌避だけでなく、病害の予防や作物の生育促進にもつながることがあります。
シルバーマルチでマルチングする
マルチングとは、畝の表面をシートなどで覆い、雑草の抑制や土壌の乾燥防止、害虫対策などを行う農法の一つです。特にシルバーマルチ(銀色の反射シート)を使用すると、ウリハムシが嫌がって寄り付きにくくなります。銀色の光がウリハムシの行動を妨げるため、効果的な防御策となります。
また、シルバーテープを使って作物の周囲を囲む方法も有効です。銀色の反射光が害虫の目をくらませ、侵入を防ぐ効果が期待できます。
手で捕まえる
ウリハムシは葉の上で静止していることが多いため、見つけたら手で捕まえて処分するのも有効です。ただし、素早く飛ぶ性質があるため、素手よりも捕虫網やガムテープを使うと効率的に捕獲できます。
また、ウリハムシの動きが鈍くなる気温の低い朝方に捕まえると、より簡単に捕獲できます。朝のうちは活動が鈍いため、葉の裏などにじっとしている個体を見つけやすく、手での捕獲がしやすくなります。
ウリハムシを抑制するために気をつけること
ウリハムシの発生を防ぎ、被害を最小限に抑えるためには、環境管理と適切な対策を組み合わせることが重要です。
ウリハムシは草むらや枯葉の下で越冬し、春になると活動を開始します。そのため、畑の周囲や作物の近くに雑草が多いと、繁殖しやすい環境を作ってしまいます。
一番大切なのは定期的に雑草を刈ってウリハムシの隠れ場所を減らすことです。また作物の株間を適度に開けることで、風通しを良くし、害虫が集まりにくい環境を作ることも重要です。栽培中はマルチを活用し、雑草の発生を抑えてウリハムシの産卵場所を減らしましょう。
栽培する作物のローテーション(輪作)も効果的です。連作を続けると、ウリハムシが発生しやすくなり、被害が拡大する可能性があります。輪作を行うことで、害虫の繁殖を抑え、被害を軽減できます。
黄色の粘着トラップを設置することも有効だといわれています。ウリハムシは黄色に引き寄せられる性質があるため、黄色の粘着トラップを利用すると効果的に捕獲できます。
まとめ
ウリハムシは家庭菜園にとって悩ましい害虫ですが、適切な対策を実施すれば被害を最小限に抑えることが可能です。農薬を使う方法だけでなく、ネギの混植やシルバーマルチなどの環境に配慮した対策も効果的です。ぜひ本記事を参考にして、自分の畑や家庭菜園に合った方法を取り入れてみてください!