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【ビジネス部門 優秀賞】株式会社クールイノベーション 受賞者インタビュー|令和6年度/未来を創る!フードテックビジネスコンテスト

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鮮度保持技術でコールドチェーン構築、食料流通の課題に挑む

「他の方々のプレゼンやピッチを聞いてすごく面白い会社がたくさんあると感じた中で、当社を選んでいただけたことがありがたいです」。株式会社クールイノベーションの田山貴教さんは、受賞の喜びをこう語りました。

高湿度環境下でダンボールを乾燥状態に維持できる独自の冷蔵技術を持つ同社は、その技術を応用した革新的なコールドチェーンの構築を提案しました。高湿度冷蔵と呼ばれる技術ですが、他社の違いは、ミストが液体ではなく気体であること。これによって、主にダンボールが使われる輸送やロジスティクスのオペレーションへの対応が可能です。

この冷蔵技術をコンテナや冷蔵倉庫、業務用の小型冷蔵庫に適用することで、箱詰めした農産物の鮮度を圧倒的に延ばすことができます。レタスは収穫30日後でも商品価値を維持でき、イチゴは1カ月半、完熟マンゴーでも25日間の鮮度保持が可能になります。世界の食料生産の3分の1が廃棄されている現状に対し、農産物の収穫後からスーパーでの販売までのコールドチェーンを構築することでフードロスの削減に取り組んでいます。

特筆すべきは、海外輸出における海上輸送での活用です。「インバウンドで日本を訪れて果物のおいしさに感動した方々が、本国に戻って日本産の青果物を購入する際、鮮度低下に失望することが多いのが実情です」と田山さんは課題を指摘します。現状、青果物は空輸で輸送されていますが、現地到着後の温度管理が難しく、スーパーの棚に並んでからの賞味期限がわずか1日程度。高額な輸送コストと短い販売期間が悪循環を生んでいると言います。

同社の技術は、国内外で異なる価値を提供します。すでにコールドチェーンが発達している日本国内では、出荷調整で高く売れるタイミングでの出荷を可能にして生産者の所得向上につなげること。まだアイデアレベルですが、食料安全保障の観点から民間企業や行政が二段構えで生鮮品をストックする備蓄システムの構築も視野に入れています。

田山貴教さん

優れた技術を持続的なビジネスとして成長させることは簡単ではありません。関心を持っていただいた方々には、ぜひ気軽に声をかけていただき、サポートをいただければ幸いです

同社の創業者、かつ発明家である坂下茂が2020年の創業後、「コールドチェーンで世界を変える」というビジョンに押されて事業にジョインした田山さん。2023年にはシンガポールにCool Innovation Internationalを設立し、現在では5カ国で事業を展開しています。2024年にはさらに5カ国への進出を急ピッチで計画中。独自の冷蔵技術で世界の食料供給の未来を変える挑戦が、新たなステージを迎えています。


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